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【教採⑧】小論文 ⑴最重要ポイント

この記事では、教員採用試験における小論文を対策する上で押さえておきたい,最重要ポイントについて書いています。 

 

※このブログが初めての方は,必ず【教採①】の記事(【教採①】はじめに(重要) - Moment)をお読みください 。

※前回の記事:【教採⑦】専門教養(社会科) ⑵使用した参考書・問題集 - Moment

 

正直一番対策が難しいのが、小論文だと思います。

自分自身、何十回も練習で小論文を書き、また教員採用試験で3回も小論文試験がありながら、どう書けば良いのかいまいち分かっていません(得点もブラックボックスだし)。

 

小論文は面接と同じで、「客観的な答え」は存在しないので、いかに「完璧に近い答え」に近づけていくかが鍵となります。もちろん、「完璧な答え」が何であるかは採点者以外誰も知りません。

一方で、「こうは書かないほうがいい」「こう書いたほうがいい」というセオリーのようなものは存在しないわけではありません。できる限り多くの小論文を書く練習を行い、様々な人に添削してもらう過程で、少なくとも合格点レベルの小論文は書けるようになるはずです。特に東京都に関しては、1次試験における小論文の配点は非常に高いので、何もしないで本番勝負はあまりにもリスクが高いですし、右も左も分からない状況では、まずうまくいかないと思います。そこまで甘くはないです。

 

それでは最初に、小論文を書く上で押さえておきたい最重要ポイントを3つ示しておきます。

 

① 問題に対して正確に回答する

「何を言っているんだ」という感じがしますが、文章を書き進めていくうちに、徐々に本題からずれていくことがしばしばあります。例えば、「生徒の確かな学力を向上させるために、授業内でどういった実践を取り入れれば良いか」という問いに対して、「日頃から教材研究を行い、生徒の興味関心を引く内容を授業に取り入れる」という答えをしてしまうと、結局「授業内でどういった実践」をするのかどうかが分かりません。このように,それぞれの問題で「何が問われているのか」を正確に把握し、「何を答えるべきなのか」を常に意識する必要があります。これが一番大事です。(特に東京都は問題文が長く,「何が問われているのか」を把握するのが難しいです。というか,そもそも問題文のつくりが悪いです。把握しろという方が無理です。

 

 評論家ではなく、教師(教育の実践者)として書く

特に練習し始めの頃は気を付けた方が良いです。基本的小論文では「自らがどんな実践をしていきたいか」「自分ならどういった対応を取るか」ということが問われます(例外は無いわけでは無いですが)。評論家として,第三者の目線で考えるわけではありません。抽象的な物言いはできるだけ避け,具体的に「自分が何をするのか」がイメージしやすい文章にしていく必要があります。この点,自分自身はもともと自分の中で実践の「イメージ」があって,それを文章にしていることになるので,再び読み返して見直すときもその「イメージ」が頭に浮かんでしまいます。また,難し言い回しや自分にしか分からない用語を使っていたとしても,意外と気付きにくいです(本人は元から意味を理解しているため)。採点者は何度もじっくり読み返してくれるとは限らないので,誰に対しても,「一読で伝わる」文章にするようにしましょう。

例えば,「次の学習指導要領で示された新科目『公共』の趣旨に基づいて,主権者教育を実践していく」という書き方をしたとしましょう。

おそらく,ごく一部の人はピンとくるかもしれませんが,公民科が専門でない人達にしてみれば,一度読んだだけでは,何が言いたいのか分かりません(主権者教育をしたいのは分かりますが…)。この場合,最低限「趣旨」とは具体的にどういったものなのかを示す必要があります。

当然その小論文を採点するのは,「自分以外の人」になります。色々な人に読んでもらって,同じ「イメージ」を共有してもらえるかどうかを確認してもらうようにしましょう。

 

③ 実現可能なものを書く(仮に一見難しそうでも、実現するための術を示す)

自分も今まで教育実習以外,基本的には現場での経験が無かったのでこれにも苦労しました。現場の経験が無い受験者の場合,時間的・人員的・生徒的に到底学校現場では実現できないようなことを書いてしまう恐れがあります。小論文を採点するのは多くの場合,校長先生や教頭先生を含めた現職の先生です。そうなると,「ああ,この人は理想論ばっかりで,実現性のある策を出せないんだな」という話になってきます。

例えば,「生徒の思考力を高めるために,あなたはどのように取組みますか」という問いに対して,「学校の全ての授業で話し合い学習を取り入れる」と書いたとしても,一人の(新任)教員にそのような権限は無いはずですし,全ての授業でそのような時間を取る余裕があるとは考えにくいです。そもそも,問われているのは「あなたはどのように取組みますか」ということなので,問題に正確に答えられていません。

そこを例えば,「まずは,自分自身の授業で学期に2,3回程度,話し合い学習を取り入れ,その成果を学年の先生方と共有し,学年全体で取り入れることができないかを検討していく。」という書き方にすれば,まだ実現性はあるように思われます。仮に実現が難しそうでも,「それを実現するための道筋」をしっかり示せれば,取りあえずは良いかと思います。

もっとも,現実論に傾きすぎると今度は面白みに欠ける実践になってしまいます。また,現場に出ていない受験者が完璧に学校事情を把握していると,採点者が期待しているとも考えにくいです。したがって,結局の所は,実現可能性は押さえつつも,自分の行っていきたい実践(対応)をしっかりと自分の言葉で示すことが重要になります。

 

 

まずはこの3つのポイントを頭に入れて,一度過去問の小論文を解いてみましょう。今の段階は,小論文の書き方に慣れる段階なので,鉛筆で書かなくとも,Word等で打ち込んでいけば大丈夫です(むしろ書くことに時間を取られてしまうともったいない)。

 

次は,具体的にどのような小論文の「書き方」をしていけば良いのかを見ていきたいと思います。

ここまで読んでくださり,ありがとうございました。