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【教採⑥】専門教養(社会科) ⑴学習の流れ・サイクル

この記事では,教員採用試験における専門教養(主に社会科)の基本的な勉強方法について紹介しています。

 

※このブログが初めての方は,必ず【教採①】の記事(【教採①】はじめに(重要) - Moment)をお読みください 。

※前回の記事:【教採⑤】教職教養 ⑴学習のサイクル - Moment

 

前回の記事では,教職教養の学習のサイクルについて書きました。

今度は,専門教養の学習の流れ・サイクルについて書いていきます。私自身は社会科での採用なので,それを中心に書いていきますが,他の科目でも参考になる部分はあると思います。

 

Ⅰ 過去問を解き,各分野の比重と得点状況を確認,対策の方向性を見極める

過去問を解き,出題されていた用語や内容にはマーカー等でテキスト(後で紹介)にチェックをいれておくことは,教職教養(前回の記事参照)の場合と変わりません。ただ,専門教養(少なくとも社会科)の場合,さらにしなければならないことがあります。

 

①まず,地理・日本史・世界史・政治経済・倫理,つまり社会科の各分野の出題量,可能であれば点数配分を確認します例えば東京都の場合配点が公表されていて…

〔共通問題〕

⑴地理分野4点×4,⑵日本史分野4点×2,⑶世界史分野4点×2,⑷政治経済分野4点×2,⑸倫理分野4点×2

〔選択問題〕

⑹学習指導要領2点×2,⑺選択分野48点

となっています。他自治体で配点が公表されていないケースでも,問題の分量を目安にしておおよそ判断できるかと思います(自治体によっては,そもそも共通問題が無いケースもあります)。

 

②各分野の出題量や点数配分が確認できたら,実際に自分の得点状況を把握します。配点が公表されていなくても,正答率で概ねどのくらいのレベルかは掴めると思います。3年分ほど解けば,自分の全体的な実力や苦手分野が分かってくるはずです。

 

③そして,自分の実力や苦手分野が分かったところで,自らの勉強の方向性を定めます。ただ,ここで注意して欲しいのは,単に苦手分野を集中的に勉強するだけでは非効率になる可能性があることです。上で見た東京都のケースの場合,選択問題の専門分野が48点を占めています。さらに,共通問題にも選択問題の専門分野(少なくとも8点分)は含まれているため,1つの専門分野+学習指導要領問題で60点の配点になることが分かります。したがって,自らの専門分野を徹底的に固めることは最低条件です。

正直専門教養は9割は欲しい所なので,全ての分野を固めたい所ではありますが,まず専門分野が固まっていないと悲惨な状況になるのが分かります(少なくともへんぷくの受けた自治体に関しては,いずれも専門教養の配点の割合が大きかったのでそのように言えるのですが,そのあたりは各自で確認して下さい)。

 

以上を踏まえて,⑴共通問題は7~8割取れるようにする,⑵専門(選択)問題は満点取るレベルまで持っていく,という目標を立てるようにします。その目標に向けてどうしていくか,Ⅱで見ていきたいと思います。

 

※ちなみに,へんぷくの場合,選択問題(政治・経済)で1問落とし,共通問題の地理で2問落とし,世界史で1問落とし,83点に着地しています(専門は固めたけど,共通が固められなかった悪例)。

※なお,東京都は昨年度から共通問題に分野別(地理・歴史・公民)の最低基準点を設けているようです。自分が2問落として大丈夫だったので,少なくとも半分解けていれば大丈夫なはずです。

 

 

Ⅱ 対策を立てる

対策の方向性がおおよそ定まったら,具体的に対策を立てていきます。へんぷく自身が使った参考書・問題集などは次回の記事で紹介していく予定ですが,基本的には,教職教養の場合と同様,あまり色々なものに手を出さず,皆さんが各自で選ぶものを使い込んでいただければ十分だと思います。ただ,その上でいくつか頭に入れておいて欲しいことがあります。

 

①教員採用試験の難易度

これはあくまで,へんぷくの主観になりますが,東京都社会科(公民)の場合,難易度は⑴共通問題が高校入試~センターより簡単というレベル,⑵選択問題がセンター試験よりやや難しい,という雰囲気です。他2つの自治体は,共通問題も選択問題もセンター試験よりやや簡単,ただし記述式,選択式,空欄補充,正誤問題など様々な問題形式が含まれ,また問題量が多いという雰囲気でした。したがって,上でみた7~8割得点する,9割得点するといった目標はあくまで「これくらい取れたら確実」というラインであり,自治体に応じて多少変わってくるとは思います(どう考えても,得点が取れないケースも出てくるかと思います)。

 

②対策~得意分野(既に7~8割は得点できている場合)

過去問の感触が悪くなく,7~8割が得点できている分野であれば,おおよそその分野の内容は理解できていると考えられるので,まずはセンター試験の過去問に取り組むことをお勧めします。上でも見たように,センター試験が解けるようになっていれば,どの自治体でもひとまずは安心できるレベルです。また,センター試験は出題内容にムラのない試験となっているので,見落としていた部分,穴になっている部分を発見することができます。

その上で,参考書(これは詳しいものが良いです)に理解が不十分な部分をチェックしたり(既に教職教養の対策でも見ました),一通り解き終わったら大学受験用のややレベルの高い問題集(上位私立大学レベルがおすすめ)に取組んでいけば良いと思います。

基本的に⑴解く→⑵見直す→⑶復習するのサイクルを回していけば大丈夫です。目安としては3月の中旬には,センター試験の過去問(15年分くらい?)は解き終わっておきたい所です。

 

③対策~苦手分野(6割も得点できていない場合)

へんぷくは専門バカだったので,地理・世界史はこんな感じでした(日本史も怪しかった)。東京都の1次の専門教養で9割に届かなかったのは明確に作戦ミスです。ここからは,自分の反省点と「ああしていれば,上手くいっていただろうなあ」というものを含めてみてきます(次回に続きます)。

 

⑴難しいものには手を付けない!

過去問を解いた時に特に日本史や世界史が出来なかったことに慌てたへんぷくは,「とにかくやらなきゃ!!「日本史・世界史といえば,山川だ!!!」ということで,山川出版社の「詳説日本史ノート」「詳説世界史ノート」を購入し,山川出版社の教科書も買ってノートを埋めつつ,勉強することにしました。

詳説世界史 改訂版 ノート: 世B310準拠

詳説日本史 改訂版 ノート: 日B309準拠

そして…あまりの分量に絶望しながら,かといってやめるわけにも行かず,覚えられないままノートの内容を繰り返していきました。まだ日本史は高校時代にやっていたこともあってましだったのですが,もう世界史は本当に絶望的でした。結局東京都の受験当日は,一応受験自治体の過去問で出た範囲は辛うじて押さえていたので,1問ミスで済みましたが,やっぱり自分に合った勉強方法をきちんと見つけておけば良かった…と後悔しています。特に苦手な分野に関しては,中学校の範囲から見直しておいた方が無難です。

 

⑵捨てない

今考えると恥ずかしいのですが,地理分野に関しては,日本史・世界史に気を取られてあまり手を回せていませんでした。一応簡単な参考書(最低限の知識を取り入れるのにはおすすめ)は見ておいたり,毎年出題されている地形図問題の対策はしておいたり,統計要覧は見ていたり(おすすめ)していたのですが,満足に対策していませんでした。

ハンドブック 地理の要点整理【改訂版】: いつでもどこでもチェック&マスター!

地理統計要覧 2019 (2019年版)

東京都の当日には,その罰が当たったのかなんなのか知りませんが,1問は全く分からず半ば放棄(国の標高と国の位置を選択する問題です,基本的な自然地理の問題だったのだと思います)し,もう1問(雨温図)は間違いなく解けたはずなのに,なぜか間違っているという失態をやらかしてしまいました。実際,他自治体を受けた際も4択で全然分からないという問題もあったので,くれぐれも「基準点取れてればいいから,時間もないし,捨てよう」とはしないようにしましょう……(そんな人自分以外にいないか…)

 

⑶簡単でも良いから全体像を掴む

次回でも紹介しようと思うのですが,今自分は世界史や地理の勉強を進めています。そこでつくづく感じているのは,「簡単でもいいから大まかにその分野全体を見渡せていると,その分野が理解しやすいな」という点です。これは当たり前といえば,当たり前なのですが,その分野の全体像が見えないと言い知れぬ不安に陥りますし(自分が実際そうでした),全体が見えてくると,特に自分が苦手な部分(集中的に勉強しなければならない部分)が見えてきます。必ず「全体像を掴む」段階は最初の方に持ってきた方がいいです。一つの方法としては,情報量の少ない参考書・教科書を一気に読み切る(あくまで「全体像を掴む」のが目的なので,情報量が多いと混乱してしまい,結局何も残りません)というものがあります。もう一つの方法は次回紹介していきます。

 

⑷そして問題を解く

一通り参考書を見渡し,少しは理解した後問題を解いていきます。センター試験対策の問題集か,センター試験の過去問で良いと思います。正直自分はここまで手が回らなかったので偉そうなことは言えませんが,センターレベルまで押さえられていたら,共通問題はほぼ満点が取れるはずです。ただ,そのレベルは求めすぎでもあるので,どちらかといえば苦手な部分の発掘に使うというのがベストだと思われます。

 

今回はここまでです。

次回は,専門教養対策に使うと良い参考書・問題集,その他ツールについてみていきます。

ここまで読んで下さり,ありがとうございました。