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【教採②】教員採用試験を概観する

この記事では,教員採用試験の全体像をつかめるように,大まかな流れや試験の内容を紹介しています。

Ⅰ 大まかな流れ

教員採用試験は,各自治体ごとにそれぞれ日程が決まっています。ただし一次試験に関しては,東北地域・関東地域といったように同じ地域内では日程が重なっている(重ねている)ため,併願するとすれば,それぞれ別の地域の自治体に出願しなければなりません

例えば2018年度(2019年度採用)の東京都の場合であれば…

 

①5/7日(月)迄 受験申込み

②7/8日(日) 一次選考(教職教養・専門教養・論文)

②’8/6(月) 一次選考合格発表

③8/18(土),19(日),26日(日)いずれか 二次選考(集団討論・個人面接)

③’10月12日(金) 二次選考合格発表

 

という流れになっています(受験区分によっては違う場合もあります)。

多くの自治体が6月下旬~7月に一次選考,8月あるいは9月中に二次選考があり,9月から10月にかけて合格発表があります。詳しくは各自治体の情報を確認してください。また,4月~5月にかけて各自治体の説明会があります。東京都や関東地域には,地方から出張して説明会を実施してくれる自治体が多いので,3月中には必ず調べておきましょう

 

さて,「今(1~3月)から本格的に対策を始めて間に合うのか」という話になってきますが,結論から言えば「十分間に合う」はずです。ただ,対策の内容は多岐にわたるので,残りの日数とやらなければならないことを十分認識した上で,効率的に勉強しなければならないと思います。次の項目で,教員採用試験の具体的な中身を見ていきます。

 

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Ⅱ 採用試験の内容

上の流れの部分で,一次選考の部分に「教職教養・専門教養・論文」,二次選考の部分に「集団討論・個人面接」と書きましたが,これが教員採用試験の内容になります。東京都の場合は,上の5つになりますが,他にも自治体によっては課されるものもあります。それぞれの内容を簡単に確認しておきます。

 

①教職教養

非常にざっくりといえば,教育に関すること全て(教育史・教育心理・教育法規・学習指導要領……)です。もちろん,何が出るかは比較的決まっていて対策も練りやすく,一番勉強量と成果が比例しやすいと思います。ただ,自治体によって出題分野の分布に違いが見られるので,その点は後から重点的に勉強するなどの対策が必要です。春休みにコンスタントに勉強していけば,かなりの部分を固めることが出来るはずです。

 

②専門教養

専門科目(国語・数学・英語・社会……)に関することです。社会科・公民科受験の場合(というかそれしか知らない),その自治体はどのような形で各分野を出題するのかを必ず確認しておく必要があります。例えば東京都(公民枠)の場合,「社会科(地理・歴史・公民各分野)の共通問題」があり,その後に「公民科の選択問題(現代社会・倫理・政治経済から選択)」があります。つまり,地理分野や歴史分野の対策もしなければなりません。一方自治体によっては,公民分野のみから出題される場合もあります。また,当然それぞれの分野の配点も自治体によって変わってくるので,早めの確認が必要です。

 

③(小)論文

授業実践や学校内の場面指導(例えば,「いじめに遭っていそうな生徒を見かけたらどういった対応をするか)を800字から1000字程度で記述します。東京都は910字以上1050字以内で他自治体に比べて分量が多いです。出題される内容はおおよそ2パターンで,⑴学習指導:「~という力を身に付けさせるにはどのような学習指導を行うか,⑵生徒指導:「~という場面に遭遇した時,あなたはどのように対応・指導を行うか」です。一見対策がしづらそうですが,とにかく練習量+添削量(他の人に見てもらう)が鍵となってきます。

 

④一般教養

広く浅く,小中学校,高校の科目の内容や時事問題,ご当地問題などが出題されます。難易度は難しくて高校の基礎的な知識程度です。中学校の教科のレベルが押さえられていればそこまで苦ではないはずです。苦手科目を重点的に対策しておけば,ひとまずは大丈夫なはずです(人によっては勉強しなくても大丈夫なレベルです)。逆に全てを網羅的に勉強しようとすると,コスパが非常に悪い(範囲は膨大なのに,配点は低いことが多い)ので,他の試験に比べても時間を割かずに効率的に対策しておく必要があります。過去問を解いて,7割程度が安定して取れるなら極端な話勉強しなくても良いかもしれません。

 

⑤集団討論

例えば「~する力を身に付けさせるにはどうすれば良いか」といったような教育実践や近年の教育政策・施策に関する内容などを受験者の間で話し合います。自治体によって課されるテーマは全然違いますし,年によっても違います。普段から教育に関するニュースや実践を意識して頭に入れておくことが重要です。ただ,東京都に関しては事前に話し合いのテーマ(いくつか提示される)が郵送されてくるので,それへの対策が鍵になります。

 

⑥個人面接・集団面接

教員採用試験で圧倒的に高い配点になっているのが個人面接です。教員を志望した理由,学生時代頑張ったこと,どんな生徒を育てたいか,どんな授業をしたいか,(自分が教員だとして)こういうケースにはどう対応するか(いわゆる場面指導)……様々なことが聞かれます。東京都の場合,学習指導計画(事前に作成しておく)に関する質問もあり,この対策も必要です。もちろん,質問を想定してどのように答えるかを考えておく必要もありますが,一番大事なのは「自分の言葉で自分の想い,考えをしっかりと伝える」ことに尽きます。面接の対策の基本は,今は言語化できていない気持ちや考えを対策を通して言語化していく作業だと考えておいて下さい(もちろん,今まで考えたこともない内容も沢山あるので,一概には言えませんが……)。

基本的に集団面接も問われることは個人面接と変わりありません。ただ,「他の人もいる」というプレッシャーがあるので,周囲に流されず自分をしっかりと表現する練習をする必要があります。

 

⑦模擬授業

これも自治体によってまちまちですが,事前あるいはその場で授業のテーマが課され,そのテーマについて模擬授業を行います。長くても10分くらいのことが多く,「いかに生徒を引いていくか」「いい最初の投げかけを行うか」が問われているように思います。科目に対する知識を前提としつつ,練習を重ねれば十分クリアできるはずです。

 

実技

 社会科はまず無いのですが,英語や体育や音楽などは実技が求められるケースが多いです。各自治体の情報をチェックして練習・対策をしておく必要があります。

 

(⑨適性検査)

基本的に合否には関係ありません。足し算をしたり,示されたシーンに応じた気持ちを答えたりします。どのようなものがあるかを見るくらいでいいと思います。後は変に意識せず,気楽に望めばよいと思います。

 

 

以上の中から,いくつかの内容(あるいは全部)が実施されます。これは次回の記事でも伝えますが,自治体によって一次選考で何を実施するか,二次選考で何を実施するか,またそれぞれの内容の配点も大きく異なります。必ず気になる自治体の説明会には参加して,確認するようにしましょう。当然のことながら,それぞれについて対策を練っていく必要もあります。それは今後の記事で紹介していきます。

 

今回はここまでです。読んでくださり,ありがとうございました。